スペインでトマトが普及した理由/トマトは不健康とされていたって本当!?|トマトの歴史EP2

トマトの歴史
当サイトではアフィリエイト広告を利用して
商品およびサービスを紹介しています。

毎日Enjoyトマト!!福とまとの中の人(Tw:@fukutomatotw/IG:@fuku.tomato)です★

前回の記事では南アメリカ大陸で自生していた野生のトマトからメキシコに渡り、先住民のアステカ人によって栽培トマトとなった「トマトの始まり」のお話をいたしました。

今回の記事では、その後トマトが世界に広まっていくのですが、メキシコからスペインに広まったキッカケ等のお話をしていきたいと思います。

\その他のトマトの歴史記事はこちら/

スポンサーリンク

スペインによるメキシコ制圧で海を渡ったトマト

15世紀~17世紀ごろ、スペインによる新世界開拓活動・植民地化活動によりアメリカ大陸にも進出してきました。
1521年前後にアステカ帝国(現在のメキシコ)への侵略が完了し、メキシコは完全に制圧されてしまいます。

その後、ベラクルス(メキシコ湾側の外港)とセビリア(スペイン南部の港湾都市)の間に「シルバールート」と呼ばれた定期航路が開かれました。

植民地化したメキシコにはたくさんのスペイン人探検家が ”新世界” の食べ物や植物を求め渡りいわゆる大航海時代となります。

新世界から持ち帰ったものを戦利品として母国に帰ったときに披露したり、支援者に献上したりする中で、きっとトマトも戦利品としてスペインに持ち込まれたこともあっただろうと思います。

しかし、この時期にはトマトだけではなくたくさんの外来種がスペインに流入していた事もありトマトの種子や苗がどのような経緯でスペインに持ち込まれ、栽培に繋がっていったのかに関しては記録が残っていないため永遠の謎のようです。 

スペインではトマトは食用ではなかった?

スペインに渡ったトマトはすぐに人々に ” 食材 ” としてすんなりと受け入れられたわけではありませんでした。
現に16世紀中期~17世紀中期ごろのスペインのレシピブック等の文献にはトマトはあまり取り上げられていません。

新世界から持ち込まれた未知な珍品として、特に富裕層には" 食材 "としてはあまり魅力的には映らなかったようですが、17世紀ごろにはあくまで観賞用植物として広く栽培されるようになっていました。

しかし食材として全く食べられていなかったかと言うとそういうわけではなく「食べる人はいるけれど、食べない人のほうが多い」状態だったのだと推測します。
(現代で例えると、コオロギ等の昆虫食のような存在だったのではないでしょうか?)

徐々にスペインに溶け込むトマト

ではどのようにトマトはスペインの人にとって定番の”食材”になったのか、その軌跡を追ってみます。

まずメキシコから渡ってきた当初のトマトは今のトマトとは違い、実は酸味が強く、葉っぱも独特な香りがし万人受けするものではなかったようです。

また当時の食文化として野菜を食べるのは不健康だと考えられており、特に富裕層にはそもそも野菜を日常的に食べる習慣がなく、トマトを食べるのは農民や下級階層の人ばかりでした。

芸術家の間で「新世界ブーム」が起こる!

しかしその傍ら、16世紀から17世紀にかけて作家などの芸術家の間で新世界から持ち込まれた様々な物ブームが巻き起こっていました。
絵画作品にトマトが描かれたり小説にトマトを食べる描写が書かれたりと、新世界から来た珍しいものに魅了された芸術家たちが発信していたのです。

そういった勢いもあり、トマトは少しづつ ” 食材 ” としての地位を確立しつつありました。

食料不足から人々を救ったトマト

17世紀後半、人々の生活が大きく変化する出来事が起こりました。

モリスコ(カトリックに無理やり改宗させられたイスラム教徒)の追放を行ったため、労働人口が激減します。その中でも農業が著しく、農作物の生産量が落ち込みスペインは食糧不足に陥ります。

また食糧不足に加え、ペスト菌による感染症の再流行も重なってしまいたくさんの命が失われてしまいました。

そんな中で注目されたのがトマトです!

スペインの気候的にトマトは1年中栽培できる事も相まって栽培する人が増え、着々と食生活に取り入れるようになっていきました。

もちろん富裕層にも食べられるようになりむしろトマトの味を好むようにもなっていったそうで、すっかりトマトが ” 食材 ” として栽培され、国中に普及していきました。

トマトの更なる普及

18世紀半ば頃ビジネスに絡めて更なるトマトの普及を目論む商人により、もともとレシピとして確立していた料理や食材にトマトを組み合わせて使われるようになっていきました。

1745年に出版された「スペイン料理の最新レシピ集(フアン・アルタミラス著)」には、なじみのある定番の家庭料理レシピにトマトを加えるアレンジ方法やスパイスや調味料の代わりにトマトを使う方法などが数多く紹介されており、スペイン伝統料理にもどんどんとトマトが取り入れられるようになっていきました。

このことは昨今のスペイン料理の基盤になったと行っても過言ではないかもしれませんね。

この記事のポイントまとめ

この記事では、メキシコから渡ってきたトマトがスペインでどのように普及していったのかをご紹介いたしました。

今回の記事のポイントを下記にまとめておきましたので情報整理に役立ててください!

  • スペインによるメキシコ征服により、多くのスペイン人探検家が戦利品として様々なものを母国に持ち帰った。(恐らくトマトも持ち込まれていた)
  • スペインでどういうキッカケで栽培が始まったのかは謎。
  • スペインでは当初は食材としてはあまり普及していなかった。
  • 深刻な食糧不足をキッカケにトマトは食卓に取り入れられるようになっていった。
\前回の記事はこちらから/

参考文献

created by Rinker
原書房
¥2,420 (2024/06/26 17:52:17時点 Amazon調べ-詳細)

コメント

タイトルとURLをコピーしました